治療の手順

これは長年の間に定着してきたあくまでも基本的な手順です。
患者様の状態あるいはご要望によって違ってきます。
  • うつ伏せでの施術

    1.臀部への刺鍼

    骨盤から股関節にかけて付着している殿筋群は、筋肉量も多く、体の中心に近い部分を支えているので、この筋拘縮により上半身のバランスは簡単に崩れてしまいます。逆に殿筋のバランスをとることで上半身は安定します。
    臀部への刺鍼は、土台を整えるという意味で、上半身の諸問題に取り組む前に必須だと考えています。それでないと上半身を調整しても土台(殿筋)に影響されて又元に戻ろうとしてしまいます。
    刺鍼箇所としては、左臀部は中心寄り上方に、右臀部は外側寄り下方のエリアになるのはほとんどの方に共通しています。これは右半身と左半身の重力負荷の違いによるものと思われます。
  • うつ伏せでの施術

    2.脊椎脇(腰~背中~首)への刺鍼

    脊椎脇に刺鍼して脊柱の緊張を緩めていきます。
    これにより脊柱を支える筋肉や靭帯の緊張をほぐし背骨の動きを滑らかにすると同時に脊柱から分岐する神経にも作用し内臓諸器官も活発にします。
    首、頭のリラクゼーションは、全身の血流改善のためにもとても重要なので,刺鍼すると同時に念入りに揉みほぐして血流改善を図ります。
    首・頭の状況が改善することでだけで良くなってしまう症状も多岐にわたります。
    ここまでがうつ伏せで行う施術で、全体の治療の下拵えにあたります。 (この段階で脚への刺鍼も必要に応じて行います。
    特に女性に対しては、むくみ・冷えの改善予防として内くるぶしの少し上方に刺鍼します。)
  •    

    【ここからは動きの動作での刺鍼です(運動鍼)】
    筋肉は動きによって、連携する筋肉群が異なります。動作時に筋肉群が連携している状態ではじめて関節可動域制限原因を特定出来るので、「動き」ごとに可動域制限を改善し、全体の動きが滑らかになるように調整していきます。

  • 仰向けでの施術

    3.後頚部への刺鍼

    仰向けで、両膝を曲げて立て、腰の上下運動をして頂きながら後頚部に下方から刺鍼し、腰の上下動がスムーズに出来るようにします。
    次に両膝を左右に倒す動作で、これも後頚部からの刺鍼で両方向スムーズに倒れるようにします。
    この一連の作業で、首・背中・腰の柔軟性は更に向上します。
    首から背中・腰、更には脚まで動きは連携しており、動きを通じての1点への刺激は線上に伝播して行くからです。
  • 坐位での施術

    4.仕上

    最後は、上半身直立で重力がかかっている状態での調整です。
    日常生活は直立しているので、この状態でバランスを良くしていくことがとりあえずの目標ということになります。
    ここでも運動鍼を行うのが最も効果的ですが、手技でも対応出来ます。
  • 脊椎の両脇に親指を置き、そこを支点にまず前後に、次に左右にねじって頂きます。
    これは脊椎の柔軟性を高めます。
    左右の臀部に親指を置き、そこを支点に左右にねじって頂きます。
    これで骨盤調整の仕上げをします。
  • 勿論、鍼灸院なので鍼灸を使った治療がメインですが、ぎっくり腰により自宅のベッドで臥せったままの初診の患者様が徒手での操作と置き鍼(パイオネックス)のみの1時間足らずの治療で通常の生活に戻れたというケースもありました。
    患者様の感受性には個人差があります。
    鍼を使うかどうかも大事ですが(少なくとも私たち鍼灸師にとっては)、徒手でも対応出来る技量を持った上で、初めてどこに鍼を打つのかどういう刺激を加えるのか等の鍼の技術を最大限に発揮出来ます。
    コミュニケーションも大事です。
    「どこを、どういう風に、どうして欲しいか」を始め、いろいろ施術者に伝えて頂くと、それに合わせて対応出来る引き出しもいろいろあるのでより細かい施術が可能になります。
こうした過程で、患者様それぞれに合った治療法を確立してきています。
「治す」から「治療室」
「治す」にこだわりを持ち続けます。
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